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染料・化成品事業部 染料グループ

シリーズ住友化学のセルロース系繊維用反応染料「Sumifix®

<第1回>【住友化学のセルロース系繊維用反応染料「Sumifix®」】

住友化学(株)、住化ケムテックス(株)は、これまで蓄積した染料合成・染色応用技術に基づき時代の変遷に的確に対応した生産管理による「安定品質・高再現性・低環境負荷」製品を製造・販売し、合わせて「これらを利用した高付加価値加工を可能とする技術サポート」を提供しております。更に、日本及び各国化学品法(REACH、TSCA等)に対応した製品の安全性や取り扱いに関する各種情報提供の充実に継続して取り組んでおります。体表的な染料シリーズを下表に示します。

商品名 特徴
Sumifix® HF 排水負荷の少ない高堅牢・環境対応型シリーズ(中〜高温染色)

  1. 少ない無機塩量で高い固着率が得られ、優れた洗浄性を有する
    → 染料・助剤の削減、染色時間・洗浄工程の短縮や合理化が可能
  2. 各種染色条件の変動を受けにくいため、優れた染色再現性を示す
  3. 各種混用品の染色に適する
Sumifix® Supra 高堅牢型シリーズ(中温染色)

  1. 優れた再現性を示す
  2. 実用的な堅牢度を有する
  3. 液状品の品揃えがある
Sumifix® 連・捺染に好適な汎用染料シリーズ(中温染色)

  1. 液状品の品揃えがある
  2. 優れた洗浄性を有する

次回からは、反応染料の基礎的知見、化学的特性、染色特性、堅牢度、トラブルシューティング事例などを織り交ぜてセルロース系繊維用反応染料「Sumifix®」を紹介していきます。

<第2回>【住友化学のセルロース系繊維用反応染料「Sumifix®」】

今回より、住友化学(株)が製造・販売しているセルロース系繊維用反応染料、スミフィックス染料、スミフィックス スプラ染料、スミフィックスHF染料の一般的化学的特性、実用上の特性をご紹介いたします。

.反応染料の基本構造

先ず、一般反応染料の構造は下図に示した S:水溶性基、D:色素母体、T:連結基、X:反応基 で構成されています。

S-D-T-X

  • S:水溶性基(一般には -SO3Na)
  • D:色素母体(アゾ系、アントラキノン系、ホルマザン系、フタロシアニン系 など)
  • T:連結基(-NH、-NHCO-、-SO2-、-NHSO2-、-N(CH3)- など)
  • X:反応基(下表)

反応基による染料の反応性レベル

反応染料のセルロース繊維に対する反応性は、反応基により著しく異なるので染色温度、染色時間、アルカリ量などそれぞれの反応基に適した諸条件を採用する必要があります。以下に、主要な吸尽用反応染料の反応基と反応性、染色温度の関係を示します。

反応基による染料の反応性レベル

実用最適染色温度: スミフィックス染料;50℃ スミフィックス スプラ染料;60℃ スミフィックスHF染料;70℃

.一般的に吸尽染色でよく使われているという反応基は下記1〜4のうち、どれでしょうか?

1.ジクロロキノキザリン  2.フロロメチルクロロピリミジン  3.ビニルスルホン  4.モノクロロトリアジン

答えは次回に掲載します

<第3回>【住友化学のセルロース系繊維用反応染料「Sumifix®」】

前回は反応染料の特性として、反応基によってセルロース繊維との反応性が異なることをご説明しました。
そこで今回は、当社反応染料-スミフィックス染料、スミフィックススプラ染料、スミフィックスHF染料-の反応基、一般的化学的特性、および実用上の特性をご紹介します。
なお、前回設問の正解は(3.ビニルスルホン)です。

.スミフィックス染料の反応基と実用特性

スミフィックス染料の各品目と反応基、染色適応性をまとめた表を以下に示します。

    スミフィックス スプラ 染料 スミフィックス 染料 スミフィックス HF 染料
化学的特性 反応基
(D:染料母体)

スルファートエチルスルホン基
+モノクロロトリアジン基
D-SO2CH2CH2-OSO3Na
スルファート
エチルスルホン基
多官能型
反応機構 付加反応及び置換反応 付加反応 付加反応及び置換反応
反応速度 比較的大
実用上の特性 一浴連続染色
二浴連続染色


好適
可(染料の選定要す)
一相捺染
二相捺染

可(染料の選定要す)
好適
不適
不適
吸尽染色温度
(炭酸ソーダの場合)
50 〜 70℃ 50 〜 60℃ 60 〜 80℃
ウォッシングオフ性
白色抜染性
染色布の貯蔵安定性
優 〜 良
良 (一部染料のみ)

優 (一部染料不可)

良 (一部染料のみ)
尿素の併用性
溶解度
良 (添加量に注意)
要注意
良 (添加量に注意)
  • Sumifix® Supra・・・反応基としてスルファートエチルスルホン基とモノクロロトリアジン基の二官能基をもつ反応染料です。優れた洗浄性と実用堅牢度を有します。均染性など各種染色性に優れる染料です。
  • Sumifix® ・・・反応基としてスルファートエチルスルホン基をもつ反応染料です。再現性に優れ、優れた堅牢度を有します。洗浄性に優れ、連染・捺染に適しています。
  • Sumifix® HF ・・・反応基としては多官能型で、ビルドアップ性の優れる濃色用染料です。低塩型で高い固着率を有します。排水負荷が低く、環境にやさしい染料です。

次回から、上記特性について、より詳しく述べていきますが、その前に設問です。

.反応染料はどのようにセルロース繊維と反応するでしょうか?

1.環化反応  2.置換反応 3.付加反応 4.転移反応

答えは次回に掲載します。

<第4回>【住友化学のセルロース系繊維用反応染料「Sumifix®」】

前回は、当社反応染料-スミフィックス染料、スミフィックススプラ染料、スミフィックスHF染料-の反応基、一般的化学的特性、および実用上の特性の概要について紹介しました。今回からは、その特性のうち、化学的特性すなわち反応染料とセルロース繊維の反応機構について説明します。
なお、前回設問の正解は、(2.置換反応 と 3.付加反応)です。

.セルロース繊維の化学構造

セルロースは、グルコース基が1位と4位でつながって長い鎖となったもので、次のような環状構造をもっています。

セルロース繊維の化学構造

セルロース分子のグルコース単位中には、6位の第一級水酸基及び2位、3位の第二級水酸基の合計3個が存在しています。さて、反応染料は、一体どの水酸基と最も反応するでしょうか。これについては、グルコース環のエステル化反応において、各水酸基の反応速度が、6位-OH: 2位-OH :3位-OH = 23.4: 2.16: 0.106であることが報告されてることから、この結果、反応染料のセルロースとの反応位置は、主として6位の第一級水酸基ということになります。
(以下、セルロースを 6位のOH基に着目して、上記構造式を略して HO-Cell.と書きます)

それでは、反応染料とセルロース繊維はどのような反応機構で結合するのでしょうか。
反応染料の染色は、一般に炭酸ソーダ、苛性ソーダ、第三りん酸ソーダなどのアルカリ性存在下で行われます。セルロース繊維のOH基は、pHが高くなるにしたがってアニオン化が促進され反応染料と反応しやすくなります。(上記図の赤く示した箇所のOH基が活性化されます。)また、反応染料は、水とも反応し、加水分解が起こります。それでは、これらの反応について説明していきましょう。

.付加反応の場合 (反応基:スルファートエチルスルホン)

(1)セルロース繊維との反応
スルファートエチルスルホン基(-SO2CH2CH2OSO3Na)を有する染料とセルロース繊維の反応は、アルカリの存在で反応性にとんだビニルスルホン-SO2CH=CH2)の形となります。
 D-SO2CH2-CH2OSO3Na + NaOH →  D-SO2CH=CH2 + Na2SO4 +H2O
次に、ビニルスルホン基上の二重結合の電子が、活性化されたセルロースと付加反応します。
D-SO2CH=CH2 + H+ +O- -Cell. → D-SO2CH2-CH2-O-Cell.
(2)水との反応(加水分解)
反応染料は、水とも反応し加水分解が起こります。
D-SO2CH=CH2 + H2O → D-SO2CH2-CH2-OH

次回は、置換反応によるセルロース繊維と反応染料の反応機構について説明します。

<第5回>【住友化学のセルロース系繊維用反応染料「Sumifix®」】

前回に引き続き、今回は置換反応による反応機構についてご紹介します。

. 置換反応の場合 (反応基:モノクロロトリアジン基)

セルロース繊維のOH基と置換反応し共有結合します。この反応機構は、トリアジン環の窒素が電子吸引性をもっており、この窒素により、Cell-O-、OH-のような陰性物質を引き付け塩素原子と置換反応します。

(1)セルロース繊維との反応 (2)水との反応(加水分解)
セルロース繊維との反応 水との反応(加水分解)

上記のように反応染料は、水とも反応し加水分解も増大して染色に不都合が起こるので、実際の染色においては加水分解を出来るだけ少なくし、セルロース繊維との反応を最高にするような染色条件(アルカリの種類と使用量、温度、時間)を採用しなければなりません。

次回は、反応染料の一般的な吸尽染色法をご紹介します。その前に設問です。

.吸尽染色に該当するのはどれでしょうか?

1.チーズ染色、2.かせ染色 3.インクジェット染色、4.一浴連続染色、5.ウインス染色

答えは次回に掲載します。

<第6回>【住友化学のセルロース系繊維用反応染料「Sumifix®」】

前回まで、反応染料の当社製品シリーズ、染料の化学的特性やセルロース繊維との反応機構について説明してきました。今回からは、実際の吸尽染色法の各工程別に説明します。ところで、先月設問の正解は、(1.チーズ染色、2.かせ染色、5.ウインス染色)で、これらの染色は今回説明する吸尽染色法で行われます。

それでは、実際の吸尽染色方法の概要を以下の模式図を使って説明します。

吸尽染色方法の概要

では次回は、吸尽染色法に使用する無機塩添加の目的等について説明をおこないます。お楽しみに。

<第7回>【住友化学のセルロース系繊維用反応染料「Sumifix®」】

前回は、吸尽染色法の概要について模式図を用いて説明しました。その際、図では染料液を投入後に無機塩を添加、図ではアルカリ剤を添加しましたが、これらはそれぞれどういう目的があるのでしょうか?

吸尽染色で大切なことは、できるだけ染料自体の加水分解を少なくし、セルロース繊維への染料の吸尽や固着を高めることです。反応染料は、他の染料と比較すると分子が小さいため、セルロース繊維に吸収されにくい性質があります(低親和性)。その為、吸尽染色では一般に無機塩アルカリ剤を用いることで染料と繊維の親和性を高くする必要があります。以下に、無機塩とアルカリ剤の効果について詳しく記載します。

(1)無機塩
無機塩は、繊維への親和性を高めるために添加します。反応染料の染色では、使用する無機塩の使用量を増すと吸尽率が高くなる傾向にあります。しかし、無機塩濃度があまりに高くなると、染料の溶解度が低下して凝集を引き起こし、その結果不均染を生じることがある為、最適量を添加することが必要です。この無機塩としては、無水芒硝、結晶芒硝あるいは食塩などの無機中性塩が用いられます。
(2)アルカリ剤
アルカリ剤は、染料と繊維を共有結合させるために添加します。このアルカリ剤の添加は、反応速度、繊維と染液間の染料の分配に影響します。pHが高くなりすぎると、反応染料自体の加水分解反応が促進され、セルロースへの固着率が低下します。その為、アルカリ剤の添加は適量とすることが必要です。一般にアルカリ剤としては、炭酸ソーダ、炭酸ソーダと苛性ソーダ、合成アルカリ及びこれらを組み合わせたものが用いられます。

芒硝、炭酸ソーダの使用量は、染色濃度により適宜変更する必要があります。
これら助剤の使用量の目安は下表の通りです。

染色濃度 芒硝 炭酸ソーダ
淡色〜中色 5〜50g/L 5〜20g/L

なお、当社染料についての芒硝および炭酸ソーダの詳細な標準使用量は次回以降記載いたします。

では次回からは、糸を例にしたセルロース繊維の吸尽染色法の工程について、より詳しく紹介していきます。

<第8回>【住友化学のセルロース系繊維用反応染料「Sumifix®」】

今回から、セルロース繊維の吸尽染色工程について、説明します。

セルロース繊維の染色工程の概要
被染物の形態により吸尽染色を行う操作や染色機械は異なります。一般に被染物は、バラ毛(ステープル、トップ)、糸、織物および編立物の四種類に分類されます。この内、バラ毛と糸を染色する場合を先染めといい、織物、編立物を染色する場合を後染めと称し、次のような加工工程の流れで通常行われます。
先染め加工工程(糸の場合)
先染め加工工程(糸の場合)

では次回からは、上図に示した各工程について、より詳しく紹介していきます。

<第9回>【住友化学のセルロース系繊維用反応染料「Sumifix®」】

今回から、セルロース繊維の吸尽染色の準備工程(検査と、チーズ染色時はワインディング装填。綛染色時はカセ掛け)について、糸を用いて説明していきます。

準備工程
準備工程では、入荷した被染物の性能が要求される品質に合致するかどうか、汚れや異物の混入がないかどうかを検査して、後の工程に支障のないことを確かめてから、それぞれの加工機械にセットします。
糸染めに用いられる染色機は、懸垂型と詰込み型に大別され、前者に属するものには、噴射染色機、回転バック染色機があり、後者に属するものは、使用するキャリヤーにより、パッケージ、ドーナツ、ケーク、マフおよびチーズなどの染色機があります。
チーズ染色
糸をチーズ(形状がチーズに似ている)に巻いて染色する方法がチーズ染色ですが、他の糸綛を懸垂または詰め込んで染色する方法に比べて、綛取り、巻もどしを必要としないので省力化でき、しかも小浴比(1:5〜10)で染色可能です。また糸のもつれ、糸ずれ、糸切れがないなどの利点があります。セルロース繊維は、染色時の収縮がほとんどありませんので収縮防止処理は必要ありませんが、合成繊維およびその混紡糸は収縮が大きい(約5〜10%の収縮率)ため、ワインディング前に収縮防止処理が必要です。
ワインディング
チーズ染色を行うためには、染色用のチーズコーンに均一な巻密度で巻き取るようにします。ワインディング装置としては、Rotary Traverse Winder (RT式ワインダー)が一般に使用されます。巻き形状としては、オープンワインド方式が通常用いられます。要するにワインディング工程では、紡績糸の種類、番手、燃数に応じ形崩れの生じない巻密度、巻硬度が要求されます。糸の種類別の適当な巻密度、巻硬度は以下表の通りです。
チーズ染色の巻密度の例
糸の種類 巻密度(g/cm3 巻硬度(ショアー硬度)
未シルケット綿糸 0.3〜0.35 30〜20
シルケット加工綿糸 0.2〜0.25 25〜15
ポリエステル/セルロース混紡糸 0.3〜0.35 30〜20
アクリル/セルソース混紡糸 0.28〜0.30 30〜20
化合織加工糸 0.15〜0.20 30〜20
化合織フィラメント糸 0.45〜0.55 70〜50

巻密度は、単糸よりも双糸、細い糸より太い糸の方が高くできます。一般に次の計算式で求めます。

(数式)

ここで

(図表)

巻硬度は、糸の巻かれている硬さを硬度計にて測定し、染液の通過量を判断する目安にします。

糸の詰込み
オーバーマイヤー、ドーナツ型などパッケージ方式での染色では、糸を均一に詰め込むことが重要になります。
一般に詰込み密度および必要流量は次のようになります。
詰込み密度 流量
綿糸 0.24〜0.33 36㍑/min/kg 以上
レーヨン糸 0.2〜0.3 40㍑/min/kg 以上
綛染色
カセ掛け(糸の懸垂)
噴射式染色機では各噴射筒に均等量の糸をかけます。噴射圧と流量に特に配慮する必要があります。

では次回からは、前処理工程について紹介していきます。

<第10回>【住友化学のセルロース系繊維用反応染料「Sumifix®」】

今回は、セルロース繊維の吸尽染色の前処理工程について、説明していきます。

前処理工程
前処理工程としては、精練、漂白、場合によってはシルケット加工が行われます。前処理は被染物の不純物の除去、染色性の向上、被染物の均一化など、染色工程で均一な染色を得る為の準備目的で行われます。

.原綿、綿糸の前処理

1.精練、漂白
被染物が含有している夾雑物、機械油などを除去する目的で行われます。代表的な精練、漂白処理法を例示します。
精練、漂白処理方法例
  処方例 備考
精練方法
精練剤 1〜3g/L
苛性ソーダ 1〜3g/L (または炭酸ソーダ 3〜5g/L)
浴比 1:15〜25
温度・時間 95〜100℃・30〜60分
  • 綿を傷めぬようにアルカリ剤を加えずに精練を行う場合もあります。
漂白方法
過酸化水素法
過酸化水素(35%) 8〜30g/L
ケイ酸ソーダ 3〜5g/L
トリポリりん酸ソーダ 1〜3g/L
硫酸マグネシウム 0.1g/L
pH 10.5〜11.0
浴比 1:15〜25
温度・時間 90〜100℃・60〜90分
  • 鉄さびが混入するとセルロース繊維が劣化しますので金属イオン封鎖剤の併用がすすめられます。
  • 脱塩素効果があるので塩素漂白後に行います。
  • 脱過酸化水素処理を要します。

<処方>

チオ硫酸ナトリウム 1g/L
温度・時間 70℃×10分

このほかの漂白方法として、亜塩素酸ソーダ法、次亜塩素酸ソーダ法等があります。

1)原綿の場合
原綿のまま精錬、漂白することはまれで、混紡用に実施される程度であり、他には脱脂綿、ふとん綿用などがあります。
2)綿糸の場合
綿糸の精錬
一般的な処方は上記表の通りです。精練状態が不十分な場合は、必要によりこの操作を繰り返します。なお、精練中綿糸が長時間液面上に露出すると、オキシセルロースとなり脆化(硬度低下)を起こすことがありますので注意を要します。
綿糸の漂白
精錬の終わった綿糸は、色素成分を除去する目的で必要に応じ漂白処理を行います。漂白剤としては、次亜塩素酸ソーダ、亜塩素酸ソーダ、有機塩素化合物、過酸化水素および過酢酸などがあります。塩素系化合物を使用する時は、漂白装置は塩化ビニールなどの樹脂槽、木槽またはステンレススチールにチタンライニングした槽が必要です。
最もよく用いられるのは、過酸化水素で上記表に代表処方例を示しました。漂白工程で過酸化水素を使用した場合、過酸化水素が布地に残留すると染料の分解を促進し、染め斑、色振れが起こりますので十分な洗浄を行うか、チオ硫酸ナトリウムや酵素による脱過酸化水素処理を行う必要があります。
また、塩素系漂白剤を用いた場合、脱塩素処理が必要です。脱塩素処理は、酸性亜硫酸ソーダ等を用いて残留塩素による繊維の硬度低下や染色性の低下を防ぐために行います。塩素漂白後に過酸化水素漂白を行えば、漂白と同時に完全な脱塩素ができます。

では次回は、セルロース繊維の吸尽染色工程について紹介していきます。

<第11回>【住友化学のセルロース系繊維用反応染料「Sumifix®」】

今回は、セルロース繊維の吸尽染色工程を解説しますが、まずは吸尽染色を行う上での重要なポイントを説明します。

吸尽染色工程

前処理(前回紹介)を行ったのち十分水洗し、染色工程に入ります。染料の吸尽を高くするには次のことが必要です。

  • セルロースに対する染料の親和力が高いこと
  • 浴比が小さいこと
  • 染色温度が低いこと
  • 電解質濃度が高いこと
  • アルカリ度が適当であること

これらを簡単に説明しますと

  • については、親和性が高いほど吸尽染色における染料の固着は高くなりますが、反応染料の場合は、必然的に生ずる染料の加水分解物の除去が困難となり、堅牢度低下の原因となります。
  • については、一般に反応染料は浴比の影響が大きく、低浴比ほど固着が高い傾向になります。したがって、パッケージ染色、さらには浴比が1:1に近いバッチアップ染色が有利となります。
  • については、温度も吸尽に影響します。温度が高いほど染料吸尽は低くなります。したがって、高い固着を得るには、出来るだけ低温で長時間染色することが有利です。しかし、実際の染色では、経済ペースで染色を終えなければならないので、温度を上げて反応速度を増し、良好な吸尽と均染を得る必要があります。
  • についていえば、反応染料は電解質の濃度を増すと吸尽率は高くなる傾向にあります。しかし、あまり高濃度になると、染料の溶解度が低下し不均染が生じることがあります。経済性を考えて適当量の添加にする必要があります。

以上のの詳細については、第七話および下表をご参照ください。

次に、セルロース繊維の吸尽染色工程における [1] 吸尽染色に用いる助剤 と [2]反応染料の溶解方法について説明します。

[1]吸尽染色に用いる助剤

吸尽染色では一般に次のような助剤が用いられます。

表1.助剤の例
  処方例 備考
(1)浸透剤
非イオン系界面活性剤 0.5〜2g/L

(または非イオン-アニオン系界面活性剤)

多量に使用しますと濃度低下を生じます。
(2)浴中柔軟剤 必要に応じ添加。 厚手編物の染色時、すれ防止の為に用います。
(3)金属イオン封鎖剤
ヘキサメタりん酸ソーダ 0.5〜1g/L

(または第一りん酸ソーダ(約pH5))

強力な金属封鎖剤(EDTA、NTAなど)を含金反応染料の染色に用いると、変色を生じることがあり、奨められません。
(4)還元防止剤
メタニトロベンゼンスルホン酸ソーダ 1〜3g/L
染色中の染料の還元分解による色相変化を防止するために用います。
(5)中性電解質 無機中性塩(無水芒硝、結晶芒硝や食塩) これらの助剤を過剰に使用すると、染料の凝集を引き起こし、また、移染性を低下させ不均染が起こりやすくなります。一方、使用量が不足の場合は染着不良による濃度不足が起こります。
(6)アルカリ剤
炭酸ソーダ 1〜20g/L

(または炭酸ソーダ:5g/Lと
苛性ソーダ(40°Be’)1〜2ml/Lの併用)

スミフィックス スプラ染料の芒硝、炭酸ソーダ標準使用量
染色濃度 未シルケット綿 シルケット加工綿
無水芒硝 炭酸ソーダ 無水芒硝 炭酸ソーダ
〜0.1 %(o.w.f.)
0.1〜0.2
0.2〜0.4
0.4〜0.7
0.7〜1.0
1.0〜2.0
2.0〜
5g/L
10
20
30
40
50
50≦
5g/L
8
10
13
15
18
20
3g/L
7
10
15
20
40
50
5g/L
8
10
13
15
18
20

註)

  • (1)から(5)までの助剤は通常アルカリ添加前に染浴に加えます。
  • 各助剤はあらかじめ水に溶解して加えます。
  • 芒硝、炭酸ソーダの使用量は染色濃度により適宜変更する必要があります。

[2]反応染料の溶解方法

スミフィックス染料及びスミフィックス スプラ染料は、非常によく水に溶解します。一般には、少量の温水(40〜50℃)を加えてよく練り、ペースト状にしたのち熱湯(80〜90℃)を加えて撹拌して、完全に溶解します。特に染料の濃厚溶液を必要とする場合は、必要量の尿素を加えて同様の溶解操作で溶解します。完全に溶解したのち冷水を加え所定量の染液とします。

スミフィックスの染料の水溶液は、弱酸性(pH5〜6.5)を呈するように調整されています。

この弱酸性(pH5〜6.5)下では、スミフィックス染料及びスミフィックス スプラ染料の水溶液は非常に安定ではありますが、もし用水や添加助剤のために染料溶液がアルカリ性を呈する場合、染料は加水分解を受ける傾向にありますので、スミフィックス染料及びスミフィックス スプラ染料の溶解時には絶対にアルカリ性にならないように配慮する必要があります。

スミフィックス染料、スミフィックス スプラ染料の水溶液を高温で長時間放置することは、安定性の点で好ましくありませんので、溶解後は冷水を加え、常温まで冷やし染浴を調整します。なお、金属イオン封鎖剤は、この染料の溶解時に一緒に溶解することもできますが、溶液のpHに注意する必要があります。

では次回から、吸尽染色方法を紹介します。

<第12回>【住友化学のセルロース系繊維用反応染料「Sumifix®」】

今回から、具体的にセルロース繊維の吸尽染色方法について詳しく説明します。

吸尽染色方法

繊維の種類、形状および染色装置などにより適性条件は変わります。

バラ毛(ルーズファイバー)や糸には、パッケージ染色機、チーズ染色機、綛糸染色機などが用いられ、織物や編立物には、ウインス染色機および液流染色機などが用いられます。

以下に代表的な吸尽染色の工程図を示します。

一般にスミフィックス染料の適性染色温度は、Sumifix Turq. Blue G(N)conc.の70〜80℃を除き40〜60℃、またスミフィックスHF染料の適正温度は70〜80℃の温度範囲にあります。

スミフィックス スプラ染料の場合は、反応基としてスルファートエチルスルホン基とモノクロロトリアジン基を有するため適性染色温度範囲が他種属の反応染料よりも広いという特長があります。一般に50〜70℃の温度範囲内ではカラーイールドの変化はわずかです。

スミフィックス スプラ染料、スミフィックス染料の吸尽染色法
ア. 昇温法(改良ニューオールイン法)
昇温法(改良ニューオールイン法)

  • 染料、塩及びアルカリの一部を定温(30℃)で添加し、その後昇温して、再度アルカリを分割添加して染色する方法です。
  • 均染性を得る方法として特に優れた染色方法です。
  • 染め斑の発生しやすい被染物には、最適染色温度に上昇後2回目(A点)のアルカリ添加までの時間を長くすることにより均染性をより向上させることができます。
イ.恒温法
恒温法

  • 初期温度を所定の染色温度に設定し、染料と塩を加え、染着させたのちアルカリを加え固着させます。
  • 比較的均染性のよい染料に適用されます。
ウ.冷却法
冷却法

  • 染料と塩を(必要に応じて分割して)加え、初期温度を80℃以上と高くし、徐冷を行いながら染色し、所定の染色温度でアルカリを分割添加します。
  • 初期吸着の抑制と染料のマイグレーションの向上効果とともに、繊維を膨潤させ浸透性をよくします。
  • 被染物の詰密度の高い場合やビスコースレーヨン、シルケット加工綿の染色に好適です。
  • アルカリ添加前に染料が加水分解しないようにpHに注意を要します。

次回は、染色後の調色および修正について説明します。

<第13回>【住友化学のセルロース系繊維用反応染料「Sumifix®」】

今回は、セルロース繊維の吸尽染色後の調色および修正について説明します。

調色および修正

 所定時間染色したのちサンプリングし、そのサンプルを水洗、酸中和、ソーピング、水洗、乾燥後に所望の色調が得られているかどうか確認します。染色物に色違いや濃度不足、濃度オーバーなどのトラブルが発生した場合、染料の追加や脱色が必要です。

染料の追加

わずかな色違いや濃度不足の場合は、染料の追加が必要となります。染料の追加時に無理な方法を行いますと、不均染が起こりやすいので特に注意が必要です。

染料の追加方法としては、次の方法があります。

  • ア.染液を全て排出後、新たに注水し染色操作を始めから行う方法。この方法は最も安全な方法ですが、時間や作業に手間がかかります。
  • イ.染液の約半量を排出し、用水を注入します。この状態では、染浴温度も下がり、また助剤濃度も低くなっています。この中に染料を徐々に添加し、その後昇温し染色を行う方法。この方法も手間がかかりますが、安全な方法です。
  • ウ.追加染料を多量の残浴で希釈し、十分な希薄溶液にしたものを徐々に染浴に添加する方法。この方法は染浴温度が高く、且つ助剤濃度も高いので無理すると染め斑が起こり易いので注意が必要です。Sumifix Supra Navy Blue 3GFの追加の場合は、特に注意してください。
  • エ.残浴をそのまま残し、染浴温度を80℃まで昇温し染料を添加します。その後放冷しながら色、濃度をチェックする方法。この方法は、作業は簡単ですが、放冷に時間がかかる欠点があります。
脱色

濃度が濃すぎたり、甚だしい色違いや斑染めが出た場合には、脱色、再染色が必要となります。脱色の方法にはいろいろありますが、代表的な処方は次の通りです。

  • ア.部分脱色(アルカリによる脱色)
    濃度を1〜2割落とす処方です。
    スミフィックス スプラ染料の脱色には、通常のビニールスルホンタイプのスミフィックス染料よりも強い条件が必要で、90℃以上の高温処理を行います。
    通常、苛性ソーダ((40°Be’) 10ml/L、100℃、60分)で約50〜60%、 炭酸ソーダ(20g/L、100℃、60分)で20〜30%程度脱色されます。
  • イ.完全脱色(還元または酸化処理による脱色)
    不上り品の再染色の場合には完全脱色を行います。
    脱色処理は通常1回で十分ですが、脱色斑を防ぐために軽く再度の脱色を行う場合もあります。
脱色法 部分脱色 完全脱色
還元処理 酸化処理
薬剤 炭酸ソーダ 20〜30g/L
又は
苛性ソーダ(40°Be’) 10ml/L
苛性ソーダ(40°Be’) 20ml/L
ハイドロサルファイトコンク 5g/L
次亜塩素酸ソーダ 8g/L
(有効塩素12%)
温度・時間 90℃以上×30〜60分 80℃以上×30〜60分 20〜30℃以上×30〜60分
浴比 1:15〜30

次亜塩素酸ソーダは臭気と機器の腐食の問題があり、ハイドロサルファイトによる還元処理が奨められます。

還元処理または酸化処理による完全脱色後、被染物をより白くするために過酸化水素による漂白処理(第十話参照)を行う場合もあります。脱色後は十分湯洗を行い、薬剤を除去します。

反応染料による染色物は、完全脱色処理でも黄色に着色している場合があり、再染色可能な色相が限定されます。主として暗味色の再染色は可能です。ただし、被染物の着色度合が大きい場合は、新たな色合わせが必要です。再染色の方法は、通常の吸尽染色法と何ら変わりありませんが、この場合予備試験を必ず行う必要があります。

では次号は、染色後の後処理工程について説明します。

<第14回>【住友化学のセルロース系繊維用反応染料「Sumifix®」】

今回から、セルロース繊維の吸尽染色後の後処理工程について説明します。

後処理工程は、(1)水洗、ソーピング (2)フィックス処理 (3)柔軟処理 (4)オイリング処理 の順に行われます。
今回は、(1)水洗、ソーピングについて説明します。

(1)水洗、ソーピング

優れた堅牢度を得るのに欠かせない工程です。一般には、冷水洗→酸中和→熱湯洗い→煮沸ソーピング→熱湯洗い→冷水洗の順に行います。

この目的は、未固着の染料を完全に除去することにあります。

最初の水洗は、アルカリや塩を除去するために行い、酸中和は、残留アルカリの中和および染色中に繊維上に付着したCa、Mg塩を除去する目的で行います。ビニールスルホン系のスミフィックス染料は、アルカリが残留していると洗浄中に脱色がおこりますので注意が必要です。

特に未固着の反応染料は、塩が存在すると除去しにくいので、できるだけ塩を除いておく必要があります。

また温度が高くなるほど直接性は低くなり、一層除去されやすくなりますので、煮沸ソーピングが好ましく、この際、1〜3g/Lのアニオン系または非イオンの界面活性剤を添加して行います。

なお極淡色の場合には、酸中和後、80℃前後の温度で比較的軽く洗浄して仕上げることができます。

次に洗浄条件の具体例をあげると次のようになります。

パッケージ、ウインスを用いる場合

ウインス染色機を用いる標準的な洗浄工程を下図に示します。

洗浄工程
洗浄工程

各工程の留意点は以下の通りです。

  • ア.水洗工程:淡色であれば中和工程も同時に行います。温洗工程でアルカリが大量に残っていると染料が脱色されますので、アルカリは十分に洗い落しておく必要があります。
  • イ.中和工程:必要に応じて中和を行います。中和には揮発性の酸、一般には酢酸を使用し、pHは7〜8になるように調節します。不揮発性酸は、布上に残留すると後工程でのトラブルの原因となりますのでお奨めできません。
  • ウ.湯洗工程:中色以上では、ソーピング前に湯洗工程を入れた方が洗浄効率がよくなります。
  • エ.ソーピング工程:アニオン系または非イオン系の界面活性剤を使用し、90℃以上の温度でソーピングします。
  • オ.水洗工程:特に濃色の場合、この水洗工程により布に付着した未固着染料を洗い流すことができ、後の工程で無駄な熱エネルギーを消費しなくてもよくなります。通常は省略できる工程です。
  • カ.湯洗工程:フィックス処理を行わない場合、この工程は染色物の湿潤堅牢度に大きく影響します。湯洗工程は残液の着色具合をみながら数回行います。スミフィックス スプラ染料の場合、濃色で通常2回程度の湯洗を行います。
  • キ.水洗工程:染色機及び染色布の冷却を兼ねて水洗を行います。柔軟処理を行う場合には、この工程で同時に行います。

(備考)

  • 未固着染料の除去の度合を判断するには、湿った状態で切り取った見本を白綿ブロードで包み、上からアイロンなどで熱を加え、白綿ブロードの汚染を調べるのが簡単な方法です。
  • 用水の硬度の高い場合は、ソーピング浴にヘキサメタりん酸ソーダなどの中性金属イオン封鎖剤を1〜2g/L併用します。なおEDTA、NTA系金属イオン封鎖剤は、含金属反応染料の染色物の色相変化を生じることがありますので注意が必要です。

では次回は引き続き、後処理工程のフィックス処理以降について説明します。

<第15回>【住友化学のセルロース系繊維用反応染料「Sumifix®」】

今回は、前回に引き続きセルロース繊維の吸尽染色後の後処理工程について説明します。

後処理工程は、(1)水洗、ソーピング (2)フィックス処理 (3)柔軟処理 (4)オイリング処理 の順に行われます。
今回は、(2)フィックス処理から(4)オイリング処理まで説明します。

(2)フィックス処理

バラ毛染めや極濃色などの染色物は、未固着染料の完全除去が難しい場合がありますので、湿潤堅牢度を向上させるためにフィックス処理を行うことがあります。

フィックス処理は、一般にソーピング、水洗いを完了したのちに行います。

通常、浸漬法の場合は、1〜4%(o.w.f.)又は1〜3g/Lのフィックス剤を用い、60℃で10〜20分間処理します。

染色後の色修正、脱色などで万一脱フィックス処理を必要とする場合は、酸処理(例えば酢酸48% 3-6ml/L. 80℃×30分)を行いますが、繊維を損傷させたり変退色を起こすのでおすすめしません。

また、フィックス剤によっては、染色物の耐塩素堅牢度を低下させるものがありますので注意が必要です。

(3)柔軟処理

繊維の風合を柔らかくする目的で十分ソーピングを行った後、柔軟処理を行います。

フィックス処理後に柔軟処理をする場合、アニオン系柔軟剤を使用すると、沈殿を生じ所定の効果が得られないことがあるため、カチオン系または非イオン系柔軟剤を使用する必要があります。

フィックス処理を行わない場合、柔軟処理はソーピング、湯洗後の水洗時に同時に行い、その後水洗は省略することもあります。

柔軟処理の一般的条件は次のとおりです。

柔軟剤: 1〜4% (o.w.f.)
浴比: 1:15〜25
温度: 40〜50℃
時間: 20〜30分

(4)オイリング処理

バラ毛などの染色物は、のちの紡績工程での可紡性の向上を目的としてオイリング処理が行われます。糸染めの場合は、染色後に行う製織、編立の作業性向上を目的に行われます。

一般に浸漬方法で行われ、3〜5g/Lのオイリング剤で40〜50℃の温度で20〜30分間処理して、100℃以下の温度で乾燥します。乾燥温度が高すぎると、オイリング剤による着色が生じることがありますので注意して乾燥します。

では、以上でバラ毛、糸染め工程を終了し、次回は、織物・編立物の染色工程を説明します。

<第16回>【住友化学のセルロース系繊維用反応染料「Sumifix®」】

これまで、セルロース繊維の吸尽染色工程を糸を用いて説明してきましたが、織物・編立物を用いた場合について補足しておきます。

織物・編立物を染色する場合を後染めと称し、次のような加工工程の流れで通常行われます。

後染め加工工程(織物、編立物の場合)

後染め加工工程(織物、編立物の場合)

織物・編立物については、糸の場合とは異なり、準備工程として解反・結反の工程があります。結反が不良の場合、テンションむら、ロープマーク、折じわを生じますので注意深く行う必要があります。

次回は、織物・編立物の前処理工程について紹介します。
尚、織物・編立物の染色工程については、糸と同じなので省略させていただきます。

<第17回>【住友化学のセルロース系繊維用反応染料「Sumifix®」】

今回から綿織物、綿編立物の前処理について説明していきます。

綿織物、綿編立物の前処理

毛焼き

織物や綿編立物の場合は、精練漂白などの処理に先だち、後に行う処理をスムーズにし、織物や編立物に光沢を与え、外観を向上させる目的で毛焼きを行います。綿の場合、一般にガスバーナー式の毛焼機が用いられます。通常布地がバーナーを通過する速さは、約1/20秒で、加工速度は150〜250ヤード/分程度で行います。

再生セルロース繊維や合成繊維との混紡品も綿に準じて行います。

合成繊維との混紡品の場合、毛焼きによるエッジマークなどをさけるため染色後に毛焼きが行われるケースもあります。

編立物の場合は、開反毛焼の方が両面毛焼ができるので結反毛焼より好ましいといえます。要するに毛焼きをいつ行うかという工程の時期の選択は、被染物製品の受ける工程、用途などにより決定します。

糊抜き

製織、編立工程で付与した糊剤を除去し、均染を得るために行います。製織、編立時に使用した糊剤に合った糊抜き方法を採用する必要があります。

澱粉類は、酵素タイプまたは酸化剤タイプの過硫酸塩、亜臭素酸塩などの糊抜き剤を用い除去します。

PVA、CMCは煮沸浴で容易に除かれます。アクリル酸エステル系糊剤は、か性ソーダまたは炭酸ソーダなどのアルカリ熱浴で処理し、アクリル酸のソーダ塩の形にして水溶性として除きます。このいずれの場合も浸透を助け、再付着を防止する目的で界面活性剤が必ず併用されます。均一な糊抜きを行うことが重要であり、拡布状態でジッカー、連続糊抜・精練・漂白機などで行うのが好ましいと言えます。しかし、編立物には一般にウインス、液流染色機などが用いられます。

市販糊抜剤のほとんどが、アルカリ、熱水処理で除去しにくい澱粉の除去を目的としています。澱粉酵素アミラーゼ処理による処理の澱粉の液化による除去、または酸化剤による酸化分解により澱粉を除去します。

酵素タイプの糊抜剤は、酵素の種類により適性処理温度、pHがあります。一般には、中性で40〜60℃が適当です。酸化剤タイプは、アルカリ性浴で使用され、特に短時間糊抜きが可能です。なお亜臭素酸塩(例えばNaBrO2)は、金属腐食性がありますので注意を要します。

綿及び混紡品の糊付剤としては、下表に例示した組成のものが用いられています。

糊付剤の調合例
調合例 綿 レーヨン ポリエステル
綿混紡
ポリエステル
レーヨン混紡
 
PVA
澱粉
CMC
アクリル酸エステル
油剤

4.0
2.0

0.5
0.5

1.4
6.0


0.5


7.0

0.62
0.5

2.8
1.0

0.5
0.6

5.5
2.5
0.2
0.3
06

5.8
2.2

0.6
0.7

(注)繊維学会編:繊維便覧(1969)

次に糊抜き処方の一例を示しますと下記の様になります。

ア.浸漬方式の糊抜き
過硫酸タイプの糊抜剤 5〜15g/L
か性ソーダ 5〜10g/L
精練剤(アニオン系) 1〜3g/L
温度 90〜95℃
時間 60分
浴比 1:5〜10
イ.連続式の糊抜き
過硫酸タイプの糊抜剤 15g/L
か性ソーダ 7g/L
精練剤(アニオン系) 3g/L
絞り率 100〜110%
スチーミング 95〜100℃×20分

(注)

  • 過硫酸タイプの糊抜き剤の酸化分解効果を有効に発揮させる目的でか性ソーダを添加します。か性ソーダは綿側の精練助剤としても有効に働きます。
  • 過硫酸タイプの糊抜剤に併用する界面活性剤は、過硫酸タイプ糊抜剤の安定性の面からも非イオン系よりアニオン系がすすめられ、アニオン系精練剤が使用されます。

次回は、精練漂白、シルケット加工について説明します。

<第18回>【住友化学のセルロース系繊維用反応染料「Sumifix®」】

今回は綿織物、綿編立物の前処理の続きを説明します。

織物、綿編立物の前処理

精練漂白
  • ア.浸漬方式は、綿糸の場合に準じた処方で行います。加工目的によっては、糊抜き、精練及び漂白を同浴で行うことがあります。
  • イ.連続方式の糊抜き、精練、漂白は、J-box、L-boxなどの装置が使用され、一般にはアルカリ精練、亜塩素酸漂白次いで過酸化水素漂白の順に行われます。処方例を示すと次のようになります。
ア.連続式精練
か性ソーダ 10~20g/L
精練剤 1~3g/L
絞り率 90~120%
蒸熱 100℃
時間 20~60分
イ.連続式亜塩素酸ソーダ漂白
亜塩素酸ソーダ 15~20g/L
ぎ酸 pH3.0~4.5
絞り率 90~120%
蒸熱 90~95℃
時間 20~60分

短時間漂白はpH3~3.5にし、約20分処理します。

ウ.連続式過酸化水素漂白
過酸化水素(35%) 10~20g/L
けい酸ソーダ 5g/L
苛性ソーダ pH11
浸透剤 1g/L
絞り率 90~120%
蒸熱 90~97℃
時間 20~60分
シルケット加工(マーセル化)

綿に絹のような光沢を与え、風合いの改善、染色性の向上、寸法安定性を付与する目的で行われます。
セルロース繊維の高級加工になくてはならない加工です。
不均一なシルケット加工は、むら染の原因となりますので、均一なシルケット加工を行うよう注意する必要があります。
通常、25~32°Be’か性ソーダ水溶液(若干の浸透剤を含む)を用い、緊張下で20~30℃の温度で30~60秒間処理し、酸中和、水洗します。
糸、織物および編立物にそれぞれ適したシルケット機を用いて加工します。
加工工程中、シルケットをどの工程でおこなうかということは、繊維の形状、加工目的により適宜決める必要がありますが、通常綿糸は、精練と漂白の間で、綿布は精練、漂白後に行います。なお綿糸の場合は、紡績工場で行われることもあります。

又、染色後に行う場合(後シルケット加工)もあります。

再生セルロース繊維の前処理

再生セルロース繊維は、天然繊維のような一次不純物はほとんど含有していません。紡糸、製織、その他工程で添加した薬剤や汚れを除くために行います。
通常は、天然繊維と同じ方法で行いますが、二次的な不純物が主体であり、しかも再生セルロース繊維の強度や耐薬品性などを考慮して、天然繊維に比べてややマイルドな条件で行われます。

次回は綿織物、綿編立物の染色工程、後処理工程後の仕上げ加工工程について説明します。

<第19回>【住友化学のセルロース系繊維用反応染料「Sumifix®」】

今回は綿織物、綿編立物の仕上げ加工について説明します。
尚、綿織物、綿編立物の染色工程、後処理工程については、それぞれ第12~13話、第14~15話をご参照ください。

仕上加工工程

製品の商品価値の向上を目的に次のような仕上加工を必要により行います。

(1)柔軟仕上げ加工

柔軟仕上の方法としては、浸漬法とパッド法がありますが、後者は通常樹脂加工と同時に行います。

(2)樹脂加工

肌ざわりがよく繊維としての性能のすぐれているセルロース繊維の織物、編物は、衣料として広く使用されていますが、皺、収縮、風合の改善を目的に樹脂加工が行なわれます。
セルロース繊維は、樹脂加工により良好な防皺防縮効果が得られますが、反面伸度の現象により強度低下が生じやすくなりますので注意が必要です。
反応染料の染色物は、色相の鮮明さが一つの特徴でありますが、使用樹脂、触媒によっては変退色を生じたり、摩擦、湿潤、耐光堅牢度などが低下することがあります。これは染料と樹脂と反応触媒中の金属イオンとの結合、更に染料の加水分解などが原因と考えられます。
従って、加工目的、加工布により、使用樹脂、触媒、添加薬剤を選定し、必要によりソーピングを行います。

樹脂加工法

樹脂加工液→パッド→中間乾燥→キュアリング→ソーピング→乾燥の工程順に行います。
標準的な加工条件は次のとおりです。

パッド 絞り率 60~80%
中間乾燥 80℃~120℃×1.5~3分
キュアリング 140~170℃×0.5~3分
ソーピング 2g/l 非イオン活性剤
2g/l 炭酸ソーダ
40~50℃×10~30秒

樹脂加工は加工繊維の種類、形状及び加工目的により適当に母体樹脂、風合調節用樹脂、柔軟剤、触媒などの組み合わせを調製する必要があります。また、合成繊維とセルロース繊維の混紡品なども当然樹脂加工がなされます。反応染料による染色物の樹脂加工は、特に色相変化を重視して比較的マイルドな触媒が使用されます。

これまで、セルロース繊維の吸尽染色に関して説明してきましたが、次回からは住友化学が製造・販売している反応染料「Sumifix®」の特長と品目構成について紹介していきます。