English

染料・化成品事業部 イオン交換樹脂グループ

トリオベッド用樹脂

1. はじめに

ミックスベッド方式は、幅広い分野で純水製造を目的として使用されています。ミックスベッド方式はコンパクトな装置で高純度の純水を生産できる特徴を有していますが、装置は複雑であり運転管理に気を付けなければ、カチオン樹脂とアニオン樹脂の分離が不十分となり、純水純度が低下したり、採水量が減少したりします。この問題点を改善する目的でトリオベッド方式が開発されました。

トリオベッド方式は、カチオン樹脂とアニオン樹脂の間に不活性樹脂を入れることにより、カチオン樹脂とアニオン樹脂を完全に分離することができますし、少し運転条件がズレたとしても中間樹脂がアニオン/カチオン樹脂の間に位置する為、逆再生のリスクが低減されます。
従いまして、高純度の純水を安定生産できることになります。

2. 物理・化学的物性(品質)

カチオン樹脂
Duolite C20LFJ
中間樹脂
Sumikaion S8TR
アニオン樹脂
Duolite A113LF
構造 スチレン系ゲル型 アクリル系樹脂 スチレン系ゲル型
官能基 スルホン酸基 無官能 4級アンモニウム基Ⅰ型
外観 黄褐色、透明、球状 白色、球状 淡黄色、透明、球状
販売時の型 Na型 Cl型
総交換容量 2.0eq/L以上(Na型) 1.3eq/L以上(Cl型)
真比重 約1.28(Na型) 約1.15 約1.07(Cl型)
含水率 43~49%(Na型) 約5% 49~55%(Cl型)
見掛け密度 約820g/L(Na型) 約730g/L 約670g/L(Cl型)
粒度範囲 0.300~0.850mm 0.70~0.90mm 0.425~0.850mm
均一係数 1.2以下 1.5以下 1.2以下
体積変化 +10%以下(Na→H型) 約+20%(Cl⇒OH型)
最高使用温度 120℃以下(Na型) 70℃以下 60℃以下(Cl型)

上記の物理・化学的物性(品質)は、保証規格ではありません。
また、予告なく改善のために品質変更することがありますのでご注意下さい。

3. 逆洗分離性

Duolite C20LFJ、Duolite A113LF、Inert:Sumikaion S8TRをエアー混合した後、逆洗展開率50%で分離しました。逆洗分離後の樹脂界面は完全にそれぞれの層に分離しています。この分離状態であれば、再生不良は発生しないと推定されます。

4. 純度立ち上がり & 到達純度


C:Duolite C20LFJ A:Duolite A113LF inert:Sumikaion S8TR

トリオベッド
C:105ml A:150ml inert:45ml
ミックスベッド(5%再生不良)
C:120ml A:180ml
ミックスベッド(15%再生不良)
C:120ml A:180ml
通水条件
カラム25㎜φ
流速SV=30
再生レベル100g/L-R
原水150μs/cm

5. 常時リーク

通水倍率 Na Si TOC
BV ppb ppb mg-C/L
トリオベッド 15 0.24 <1 0.09
60 0.15 <1 0.07
ミックスベッド
(5%再生不良)
15 2.7 <1 0.17
60 1 1 0.11
ミックスベッド
(15%再生不良)
15 4.2 2 0.17
60 1.6 2 0.09
原水 19000 2800 0.12

6. 逆洗展開率

トリオベッド構成組合せ
カチオン:inert:アニオン
= 180:50:270
(体積比)

7. 圧力損失

トリオベッド構成組合せ
カチオン:inert:アニオン
= 180:50:270
(体積比)

8. 中間樹脂充填について

ミックスベッド装置のコレクターサイズ、樹脂塔長、再生条件設定などによって、中間樹脂添加量が異なります。
例えば、中間コレクター幅が狭く、アニオン樹脂を先に再生する方式の場合は、中間樹脂を少量添加するのみで十分な効果が期待できます。
カチオン/アニオン樹脂を同時に再生する場合は、カチオン樹脂を若干少なくし、中間樹脂を添加することをお薦めします。
中間樹脂の添加量は一般的に15%以下ですが、装置仕様によって添加量は異なりますので、ご相談ください。

9. 採水量に関して

ミックスベッド装置の採水量はアニオン樹脂量によって左右されます。従いまして、中間樹脂を添加する時、アニオン樹脂を減らさない、もしくは、若干の減量であれば、トリオベッドの純度立上がりの速さと逆再生抑制による交換容量の低下防止効果により、採水量は同等か同等以上になると期待されます。
最適な中間樹脂の添加量、添加方法、再生条件設定などに関しましては、お問い合わせ頂けますようにお願い致します。